クロスコンパイラは簡単に言うと 「今使っているパソコンとは違う種類の機械で動くアプリを作るためのコンパイラ」 です。
例えば、Windows PCで Android向け のアプリをビルドしたり、Macで iPhone向け のアプリを作ったりするときに使われています。
この記事では、スマホを例に出しながら、クロスコンパイラの仕組みや使いどころ、そして 試験でよく出るポイント をわかりやすく解説していきます。
クロスコンパイラとは?
クロスコンパイラは、
プログラムを作るPC(ビルド環境) と
そのプログラムを動かす機械(ターゲット環境)
が違うときに使うコンパイラです。
スマホの例で考えると
- Windows PC → Android 向けアプリのビルド
- Mac → iPhone(iOS) 向けアプリのビルド
このように 別の環境で動くバイナリ を作るコンパイラ がクロスコンパイラです。
なぜクロスコンパイラが必要なの?
理由1:CPUが違うと理解できる命令が違う
スマホとPCでは、搭載されているCPUが異なります。
- PC:Intel / AMD(x86系)
- Android:Snapdragon、Mediatek(ARM系)
- iPhone:Aシリーズ(ARM系)
CPUが違うと、機械語の形式も変わるため、
PC用にビルドしたものをスマホでは動かせません。
理由2:OSが違うから
OSごとに利用できる機能の呼び出し方も違います。
- Windows
- Android
- iOS
そのため、動作させたいOSに合わせたバイナリ を作る必要があります。
これらを一括で解決してくれるのがクロスコンパイラです。
過去問例(基本情報)
あるコンピュータ上で,異なる命令形式をもつ別のコンピュータで実行できる目的プログラムを生成する言語処理プログラムはどれか。
基本情報技術者平成17年秋期 午前問36
この問題の答えが、まさに クロスコンパイラ です。
キーワードは
別の機械用のプログラムをPCで作る
これが出てきたらクロスコンパイラの合図です。
クロスコンパイラの動作イメージ
android-gcc main.cpp -o app_for_androidこの例なら、
- 手元のPCは Windows
- 生成されるのは Android が理解できるバイナリ
というふうに “翻訳” してくれます。
例えるなら
日本で英語の文章を作って、海外の人に渡す
ようなイメージです。
つまずきやすいポイント
PC用ライブラリはスマホでは動かない
Windowsで使えるライブラリは、Androidではそのまま動きません。
Android向けにビルドされたものが必要です。
実機での動作確認が必要
PCでビルドしても、最終的にスマホでどう動くかは 実機テスト が必要になります。
基本情報技術者試験での出題ポイント
クロスコンパイラは 基本情報・応用情報の両方で頻出 です。
特に、以下のポイントがよく問われます。
出題ポイント①:ホスト環境とターゲット環境
- ホスト(Host):コンパイルする側
- ターゲット(Target):実際にプログラムを動かす側
クロスコンパイラは
「ホストとターゲットが異なる」
状況で用います。
試験ではこの関係性を問う問題が非常に多いです。
出題ポイント②:バイナリ形式の違い
CPUの命令セットが違えばバイナリが異なります。
- x86 → PC用
- ARM → スマホ用
これを理解しておくと アーキテクチャ問題にも強くなる ので、基礎知識として覚えておきたい部分。
出題ポイント③:ネイティブコンパイラとの違い
- ネイティブコンパイラ:ホスト=ターゲット
- クロスコンパイラ:ホスト ≠ ターゲット
この対比は試験で頻出です。
まとめ
- クロスコンパイラは「別の環境で動くプログラムを作るコンパイラ」
- PCとスマホ(Android/iPhone)など、CPUやOSが違うと必要になる
- 基本情報では“ホストとターゲットの違い”が頻出
スマホを例にするとイメージが掴みやすいので、苦手意識がある人はこの理解から入るのがおすすめです。
この記事が皆様の学習に役立てば幸いです!
ここまで読んでくださり、ありがとうございました!

